
小児近視抑制治療
小児近視抑制治療
アトロピンは非選択的ムスカリン受容体阻害薬です。わかりやすくいえば自律神経系を交感神経優位(自動車で言えばアクセルを踏んだ状態)にする薬剤です。例えば心拍数や血圧を上げたり、消化管の運動を抑制したりするなどです。眼科的には瞳孔が散瞳し、調節が麻痺(ピントが合わせられない)状態になります。このような作用がなぜ近視抑制効果に至るかは現在のところ明確には証明されてはいません。 アトロピン点眼による近視抑制治療研究は19世紀からですが、シンガポールで行われたれた試験(ATOM-1)で、1%アトロピン点眼に近視抑制効果が認められました。しかし、点眼中止後のリバウンド(近視が進行してしまう)や点眼中のまぶしさ(瞳孔が開いたままなので)がネックとなり、その後アトロピン濃度を0.1%, 0.5%, 0.01%, 0.05%, 0.025%と変えて臨床試験を行い、ATOM-2試験では50%の近視抑制、日本で行われたATOM-J試験ではでは既報よりはやや効果が落ち、15%の近視抑制効果を認めました。 これらの結果から現在我が国では海外からの輸入品でマイオピン0.01%と0.025%を自由診療にて提供可能となっています。
自由診療のため保険診療とは別日に検査(眼軸長検査、近視進行予測)、処方します。 初回は1か月分の点眼を処方します。(1本4,000円 + 検査代1回2,000円 計6,000円) まずは1か月使用し、その後は3か月ごとに受診の上、処方します。 (点眼3本 4,000 × 3 + 検査代 2,000円 計14,000円) 当院の点眼は日本で初めての近視抑制点眼剤であるリジュセア®ミニ点眼液0.025%を採用しております。いわゆる自家調整点眼ではありませんのでご安心ください。
近視が治るわけではなく、近視の進行を抑制する可能性がある治療です。 点眼は開始時期にもよりますが2年間、可能であれば近視進行の可能性のある中学生まで使用することをお勧めします。